モートラック、魔女が住むスチル!

singlemalt

モートラック MORTLACH  魔女が住むスチル!

——————————————————————————–
スペイサイドのなかで蒸溜所が集中しているダフタウンにあり、優秀なシングルモルトをつくっているといわれ、信頼のある蒸留所。

「ミーティ(肉のような)」
という表現が、よく使われる。それも、理解不能な蒸留方法で、並ぶべきもののない味わいを生み出してきた。

スペイサイドモルトの良いところをすべて兼ね備えるといわれるモルト。古典的なウイスキーで、エレガントではあるが、力強い。かすかなスモーキーさのなかに、華やかなフルーツ香りがあり、ボディは充実。シェリー酒の甘みがある。

現在、蒸溜所は古い熟成庫が並んでいる場所に、新たな蒸留棟を立てる。伝統の2.81回蒸留も維持し、昔ながらのワームタブもそっくりコピーするという。

ジョニー・ウォーカーなどの原酒として長く使われていたが、元々オフィシャル品が存在していないため、銘柄の認知度は低い。ディアジオ社から『花と動物シリーズ(Flora & Fauna)』(オフィシャル的位置付け)などが出回るようになってから、認知度も以前よりは上がってきた。



1823年 ジェームズ・フィンドレーターをはじめとする地元の農夫3人が、共同でマクダフ伯爵の領地を借りて蒸留所を建設。ダフタウンの町はずれ、ダラン川とフィディック川が合流する地点に建てられた。マイケル・ジャクソンはその著書「モルトウイスキー・コンパニオン」のなかで、
「ダフタウンにおける最初の合法的な蒸留所であり、その歴史は、1823年から1824年ころまで遡ることができる」
と書く。その魅力的な建物の敷地内にハイランド・ジョンの泉と呼ばれる井戸があり、もともと多くの密造者達がこの水で密造をおこなっていた。モートラックもかつてはこの泉の水で蒸留をおこなっていたが、現在はコンバルヒルの丘の上にあるジョックス・ウェルの泉を仕込み水に利用している。

いくたびとなくオーナーが変わり、生産、休業を繰り返した1923年 ジョン・ウォーカー&サンズ社の所有となる。グレングラントのJ&J.グラントが蒸留所を所有していた時代には蒸留設備がすべて撤去され、大麦倉庫が自由教会に利用されていた期間もあった。同様に、何人もの蒸留責任者が蒸留所を任され、それぞれが自分の個性を主張するかのように、ポットスティルの形や、大きさに反映させたかのように、同じデザインのものが無い。

ゲール語で「椀状のくぼ地」を意味する蒸留所の名前は、ダフタウンにある同名の教会に由来しており、6世紀にピクト族によって建てられたこの教会は、現存するスコットランド最も古いもののひとつといわれている。

モートラック教会は 566年にSt MoluagがKismore島から布教活動のために上陸したときから、崇拝所として使われている。この教会の墓地のなかに ピクト族の石、「Battle Stone」がある。

これはMalcolm2世とバイキングのDane族が戦った1010年を記念する碑だ。もともと他の場所にあった石を、戦いが終わったときに戦場を記すものとして、ほかの場所からここに移されたものとか。たいへん見にくいが、この石には2匹の魚と、十字架と、グロテスクな野獣、牛の頭、そして騎手が刻まれている。

現在7つの蒸留所があり密造の地であったスペイサイドのダフタウンで、最古の歴史を誇るモートラックは第二次世界大戦中も操業を唯一許可された蒸留所だ。後にグレンフィディックを興すウイリアム・グラントが、20年間働いたところでもある。

発酵、マッシュタンはステンレス有蓋式で、グリストの量は11,5トン。ウォッシュバックはカラ松製で、59,000リットルの容量のものが6基 。

ところが、ひとつひとつのスティルの大きさや形がばらばらで、通常みられないように、初留、再留釜がペアになったものではない。その組み合わされる初溜と、再溜は、ローワイン・スティルの3とスピリットスティルの2と3、またはローワインスティルの1と、スピリットスティルの2と3になっている。そのため蒸留作業は複雑を極め、巧みに組み合わされた”部分的3回蒸留”なる方法で、モートラックの豊かなコクを生み出す原因となったともいう。年間の生産量は、約200万リットル 。

1897年に3基だったそのポットスティルは、6基になった。そのうち最も小さなスチルには、「ウィー・ウィッチー(可愛い魔女)」という愛称がある。この魔女の棲むスチルを使いこなすには、職人でも半年はかかるといわれている。しかし当の職人達は、
「このスチルに棲む魔女がモートラックの酒質を決めている」
と、口をそろえる。



ジョン・ウォーカー&サンズ社の所有となった1923年以降、ジョニー・ウォーカーの主力原酒として重要な役割を果たしている。近年ブレンデッド用原酒としての需要が高まっているモートラックは、シングルモルトとしての供給量が減らされており、蒸留所元詰めの一番ショートエイジであるこの花と動物シリーズのボトルも、市場から消えつつある。

モートラックは当たり外れが少なく、良質の酒である。どのボトラーズにも、まず外れはない。オフィシャルの甘味なども良いが、ウィルソン&モーガンやダンヴィーガンなどのように甘さとともに、麦を主張しているのも良い。

また、ゴードン&マクファイルや、ザ・ボトラーズのように後半がドライな傾向で仕上がっているのも最高である。サマローリーなどのシェリー樽熟成も良い。シェリー樽で、ほかにも良いのは、ザ・クライズデールは秀逸である。モートラックは、ほかにも多くのボトラーズから出ているので、一度試してみるのも良い。

◆ゴードン&マクファイルよりボトリング;スモールバッチ。ノンチルフィルター。
力強く伝統的。オレンジ色の斑点を持った銅色で、ちょっとのオレンジの皮と、新鮮なタバコの香りが、チョコレートと花の香りとともに感じられる。アフターは、ナツメヤシとレーズンの香りが残る。

◆モートラック1989年;オロロソ樽・56.7%
このケルティック・シリーズはオロロソ樽で熟成されており、色はやや濃い目の琥珀色。ボディは豊かで、良質のシェリー樽らしい品の良い甘さが感じられる。やさしいピート香と、かすかに感じられるスモーキーなフレーバーは上品。

(再投稿)

■■飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。お酒は楽しくほどほどに。

トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました