カクテルの魅力は、こだわりにあり! 番外

ギムレット

I suppose it’s a bit too early for a gimlet.(ギムレットには早過ぎる)

「ギムレット」の標準的なレシピはというと、
ジン – 3/4
ライム・ジュース – 1/4
とあって、シェイカーに材料をすべて入れ、シェイクし、カクテル・グラスに注ぐ。 ジンと、ライムジュースをシェークした淡い緑色のさわやかなカクテル。

ギムレットとは、大工道具 の一種で、コルクスクリューに似た形の錐(きり)のこと。このカクテルが誕生した頃は、プリマス・ジンと、ローズ社のコーディアル・ライム・ジュースで、かなり甘かった。

そのライムは、コーディアル・ライムを使うのがスタンダードだが、その場で絞ったライム果汁を使った方が味・香りともに、良いという判断から、こちらが採用される場合もある。

しかし、その場合は、まったく甘味がなくなるので、砂糖か、ガム・シロップ、あるいはコーディアルにより適度の甘味をつけるのが、一般的。まれに、甘味に、ホワイト・キュラソーなどのリキュールが使われる場合もある。

以上のように、作り手によりレシピの異なるカクテルの代表例となっている。コーディアルのみの使用なら、色は淡く透明なグリーンであるが、果汁を使うと白濁色となり、見た目のイメージも異なる。まったく甘味を加えないドライなカクテルとしてつくられることもあるが、多少の甘味を加えるのが主流。それだからこそ、論争の多いカクテル。たとえば、

ドライ・ジン 45ml 。ライムジュース 15ml。ライム・ジュ-スは、フレッシュライムと、販売しているライムジュ-スを1対1の割合で使う。

ドライジン 40 ml 。ライム・ジュース 20 ml。

ドライ・ジン 3/4 。ライム・ジュース 1/4 。お好みでグラスのふちをライムでしめらせ、グラスの半分にだけ、砂糖をつける(シュガー・リム)。必要ならライムをしぼり、氷を詰めたシェイカーによく冷やしたジンと、ライムジュースを入れ、シェイク。ライムの切れっぱしを落とすことも。
と、まあこんな具合だ。

誕生したのは、イギリス軍医・ギムレット卿の発案という説がある。1890年頃、艦内で将校に配給されていたジンの飲み過ぎを憂慮し、健康維持のために、ライム・ジュースを混ぜて飲むことを提唱したことが起源とされている。また、ほかには、ギムレット(gimlet)が錐のイミであることから、その味わいの突き刺すような鋭いイメージから命名されたという説もある。

やはり、ギムレットといえば、これ。そう、レイモンド・チャンドラーの傑作長編小説・『長いお別れ』のなかで、フィリップ・マーロウに、
「ギムレットには早すぎる」
との名セリフを言わせて、一躍有名になった。その頃は、まだ甘かった。相棒であるテリー・レノックスが、
「ぼくは店を開けたばかりのバーが好きなんだ。店の中の空気がまだきれいで、冷たくて、何もかもぴかぴかに光っていて、バーテンが鏡に向かって、ネクタイがまがっていないか、髪が乱れていないかを確かめている。酒のびんがきれいにならび、グラスが美しく光って、客を待っているバーテンがその晩の最初の一杯振って、きらいなマットの上におき、折りたたんだ小さなナプキンをそえる。それをゆっくり味わう。静かなバーでの最初の静かな一杯…、こんなすばらしいものはないぜ」

今は、スッキリとドライな味が主流である。 辛口 カクテル の代表格。もともとは、 コーディアル・ライムジュース を使っていたのが、最近の辛口志向のため、生の ライムジュース を使うのが主流。今ではドライな味に仕上がって、男のカクテルといった感がありますね。



さて、ジンと、ライムの組み合わせで日本で人気の高い「ジンライム」。じつは、この組み合わせは同じなんだ。

違うのは、シェークしないで、ステアでつくること。だから、グラスも、カクテルグラスではなくて、ウイスキーを飲むような口が広くて、背が低いグラスに入れて出す。

そうなんだ、ジンライムは、ギムレットの簡略版なのだ。シェークしない分、簡単につくれるということで、20世紀のはじめイギリスで大流行したものが、日本に定着してしまい、本式であるギムレットの方があまり知られていない。もちろん、味はギムレットの方が繊細。それに、カクテル・グラスというのもお洒落なんですよね。