華やかなりしミント・ジュレップ!

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華やかなりしミント・ジュレップ!

ミント・ジュレップ(mint julep)は、バーボン・ベースのカクテルとしてもっとも有名。それなのに、残念なことに、飲む人が少ないというかいない。映画・『007/ゴールドフィンガー』のなかで、
「甘味はどうかね?」
かのゴールドフィンガーが、拉致したジェームズ・ボンドに、かれの所有するケンタッキーの競走馬育成の馬舎で、ミント・ジュレップを振る舞い、こう問うシーンがあったような。今じゃ競馬を見ながら、古き良き時代をなつかしむためだけにあるようだ。

材料は、わずか4つ。バーボン、ミント、砂糖、それと氷だ。そう、じつのところ、これらの組み合わせが議論をよぶところになっている。世界にワインは100万種あるといわれているが、驚いたことにそれと同様の100万通りものルールがあるというのだ。

というのも、材料をどの割合で組み合わせるか、どうつくるか、どう供するかをめぐる議論は19世紀にはじまり、決着はつきそうにない。ただ、一つだけ変わらぬ真実がある。その華やかさ贅沢さにかけては、ほかのどのカクテルにも引けを取らないことだ。銀のカップ、おおきな氷、そしてバーボンたっぷり。なかなかすぐには飲み干すことなんてできやしない。とんでもなく時間がかかるが、それも魅力の一つなのだろう。

ミント・ジュレップの原形は、18世紀頃にアメリカ南部で生まれた。カクテルとしては起源が古く、南北戦争時代には飲まれていたという記録があり 、一説によれば、18世紀末〜19世紀初頭には存在していたともいう。 ただし、当時のレシピは、現在のスタンダードなレシピとは異なるともいわれる。ラムやブランデーがベースで、現在のように、バーボンウイスキーをベースにするようになったのは、もう少しあとだ。

ミント・ジュレップの「ジュレップ」とは、ローズウォーターを意味するアラビア語の「ジュラブ」から派生したフランス語だ。古代のジュレップは、つぶしたバラの花びらを加えて飲みやすくしたノンアルコールの調合剤だった。地中海にわたってミントにかわり、大西洋をこえてアメリカ人がバーボンを足したのだ。

その当時、氷は氷室に貯蔵され、富裕層だけが珍重し、なかなかの贅沢品だったので、供するお酒には入ってはいなかった。が、アメリカ人は酒という酒をなんでもかんでも混ぜ合わせ、そこに氷をぶちこんだ。氷は必需品になった。肌寒い気候のイギリスに合う生暖かいカクテルが、アメリカの温暖な気候に合わせるかのように冷えた飲み物にかわった。

バーボンがベースに定着したのは、1875年以降のことだといわれる。この年、ケンタッキー州ルイビルにチャーチルダウンズ競馬場が開場。第1回ケンタッキーダービーが5月17日に開催され、開会式のときクラブハウス内でバーボンをベースにした「ミント・ジュレップ」が提供された。

ミント・ジュレップに使われるバーボンウイスキーは、ご存知ケンタッキー州が発祥。それと、アメリカ競馬界で最高峰のイベント、クラシック三冠競馬のひとつに数えられる「ケンタッキーダービー」の開催地でもある。州を代表する大イベントである。ケンタッキーを象徴するバーボンを使ったミント・ジュレップは、ケンタッキーの人々にとって、もっとも身近なカクテルであり、オフィシャル・ドリンクとなっている。

「オフィシャル・ドリンク」として「ボトリングモノ」も作成・販売していたのが「アーリー・タイムズ」だったが、今は「オールド・フォレスター」になっているらしい。さらには、「オフィシャル・バーボン」として認定されベースにも使われているのが「ウッドフォード・リザーブ」というわけ。これもまた、お酒の世界だ。昔のことながら、「メーカーズマーク」で飲んでいたのを思い出した。そういえば、ミント・ジュレップ限定品ってのがあったなあ。

ケンタッキーダービーは、1938年。毎年5月第1土曜日に開催され、前日のケンタッキーオークスも含めると、2日間の観客だけで8万杯以上もの「ミント・ジュレップ」が飲まれるという。開催100周年記念グラスをもふくめ毎年、デザインを替えた記念グラスが発売されており、コレクターも多いと聞く。

さて、前記のごとくベースのバーボンを、ラム(ホワイト、または、ゴールド)に変えると、「ラム・ジュレップ」となる。なお、ホワイト・ラムを選択するか、ゴールド・ラムを選択するかは、飲む人の好みによるので、ラム・ジュレップを注文する際は、ラムのタイプを指定するといいだろう。

ベースのバーボンを、ブランデーに変えると、「ジョージア・ミント・ジュレップ」となる。シャンパンに変えると、「シャンパン・ジュレップ」となる。ジンに変えると、「ジン・ジュレップ」となる。ほかにも、水の代わりに炭酸水や紅茶を用いるなど、幅広くアレンジがたのしめる。

現在、ミント・ジュレップはバーボンベースのカクテルとして定着しているが、このカクテルが誕生した当初はワインをベースとしてつくられていたという。 一説によれば、それはポート・ワインを使用したものだったともいわれているのだとか。

はじめにミントの葉を潰すところで、ひと手間を加えていく。バースプーンなどで軽くミントをたたくのだが、ミントの風味をさらに引き出すため、「すりこぎ棒」のようなペストルでミントを潰すやり方もある。スタンダードなレシピはというと、

1)カップ、ないしはグラスにミントと、砂糖(1〜2tsp)またはガムシロップを入れる。
2)バースプーンでミントを軽く叩いて、香りを出す。
3)カップにバーボンウイスキー(45〜60ml)を注ぐ。
4)ミネラル・ウォーター、または炭酸水(20〜30ml)を入れ、軽くステアしながら、数度に分けてクラッシュアイスを混ぜる。
5)最後にクラッシュアイスを山盛りにして、ミントを飾ればできあがり。

※ミントの若芽、3〜6本分(飾る分も含む)。ミントの若芽ではなく、ミントの葉がついた大き目の茎を飾る場合や、ミントの葉しか飾らない場合もある。使用するミントの量は、飲む人の好み。ミントの種類は特に決まっていないが、スペアミントや、ペパーミントなどを使用するのが一般的。スペアミントは苦味があり葉も厚いので、アクも出る。香りを強くするために、少量のミント・リキュールを加えることもある。

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