蒸留所は、いまや観光地!?

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蒸留所は、いまや観光地!?

Oban オーバン NWH

蒸留所を中心に、オーバンの町は発展してきた。スコットランド南西部、いわゆる西ハイランドの港町。蒸留所創設時は小さな漁村だったが、見る間にリゾート地へと変貌。アイランズ地方への玄関口としても知られ、ヘブリディーズ諸島への観光を希望する観光客で賑わっている。

オーバン蒸留所は、スコットランドでもっとも歴史ある蒸留所のひとつ。それというのも、1290年エドワード1世エリノア妃葬儀の行列で最後の12番めに建てた十字架をハイランドに再建した場所にある。そんなオーバンを、ハイランドとアイランズの特徴が融合した独特のシングルモルトにしているのは、この立地条件であるといわれている。以前はひかえめすぎて、モルト愛好家は、オーバンを敬遠する傾向があった。

オーバンとは、ゲール語で「小さな湾」の意味。1794年にスチーブンソン兄弟によって創業され、かれらは蒸留所建設ばかりではなく、造船業、鉱業などの事業もはじめ、町の発展に多大な貢献をした。町の中心には「スチーブンソン通り」という通りがあり、兄弟の功績を称えている。

蒸留所はというと、1883年にジェームズ・W・ヒデュンが買い取り、施設、建物の再建をはかったが、生産を開始するもあえなく閉鎖。1923年ブキャナン・デュワーが再開するも、また挫折。そんな具合で、オーナーが次々と変わったものの、1987年には西ハイランドを代表するブランドとして、UD社の「クラシック・モルト・シリーズ」のラインナップに抜擢もされた。現在は、MHDモエヘネシーディアジオ社が所有。

古くからの名声のわりには、規模が小さい。1890年代に改修工事がおこなわれて以来、ほとんどその姿を変えることなく、現在に至っている。それはというのも、蒸留所の背後は切り立った崖で、正面の海岸との間には遊歩道が通っているため、蒸留所を拡大するスペースがないのだ。そのため、クラシック・モルト6種に選ばれたにもかかわらず、生産能力は年間にして87万ℓと少量で低い。

しかしながら、昨今のアメリカなどの急激な人気の高まりからか、すべての原酒をシングルモルトとして出荷していることは注目に値する。仕込みに使われる水は、以前はアードコネル湖の水を使用していたが、現在はそれより少しはなれたグレネベリー湖の水が使われている。

ワンパッチ麦芽7トンの仕込み。ライトリー・ピーテッドの大麦麦芽はグラスゴーから指定されたモルト業者によって配送される。それがステンレス製のマッシュタンに浸され、昔ながらのブラウ&レイキで、4つのヨーロピアン・ラーチ製、西洋カラマツのウォッシュバックで発酵される。

ポットスチルは、「スマ・スチル」と呼ばれる小さなウエストがくびれた独特な形状のランタンヘッド型のもので、初溜1基、再溜1基のワンセットのみ。一般的なストレートヘッド型よりも外気に触れる面積がより広くなり、蒸気が冷えて液体に戻りやすくなるといわれる。これにより、原酒に軽快感や華やかな酒質を生むことができるのだという。

スタンダードボトルが、「14年」。これはつくられる熟成のピークにこだわった結果、14年という年月が選ばれた。生産量が少ない事情もあり、同蒸溜所ではいろんな種類をリリースすることもなく、「14年」を主軸としている。

なお、オーバンは、作曲家・メンデルスゾーンがスタッファ島にある「フィンガルの洞窟」への旅の途中に立ち寄ったことでも有名でもある。フィンガルの洞窟は、大西洋の荒波に削られた天然の洞窟だ。町には、かれが宿泊したというぱパブ&インが残っている。1829年5月、かれはロンドン公演があり、イギリスを訪れていた。この旅の体験から生まれたのが交響曲第3番「スコットランド」であり、序曲「フィンガルの洞窟」だ。

名盤がある。クレンペラーが、PO(フィルハーモニア管弦楽団)を率いて録音。重厚な響きと濃厚なロマンの香りで強引に引きずりこむような、クレンペラーの強烈な個性がにじみ出た壮大なメンデルスゾーンだ。

 

 

■■飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。お酒は楽しくほどほどに。

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