ポートエレン

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ポートエレン(Port Ellen)、復活前

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ポートエレン「ザ・ファイナル・ビンテージ」(1983年2月蒸留、2007年7月ボトリング)スペシャル・カスクストレングス。総ボトリング数:472本。2004年よりリリースされている。とはいいつつも、まだ大量の在庫がある。しかし、いつかはなくなる。そして、人気があるため高価になっていく。

ポートエレンは、アイラモルトの歴史にとって大変重要な蒸留所である。アイラ島から初めて直接アメリカへ輸出され、アイラモルトを世界へ拡めたり、エリザベス女王が見学に訪れたりと、現在のアイラモルト人気の立役者でもある。

そして、閉鎖して20年以上経った今でもダントツの人気を誇っており、そのような蒸留所は他にない。その蒸留所最後の年に生産された大変貴重な原酒を樽出しそのままにてボトリング。

ダグラスレインの先代がこよなく愛し、思い入れの深かった蒸留所だけに、大切に保管されてきた遺産である。

香り:一瞬でアイラと分かるアロマ。その後甘いシトラスのような香り。味わい:力強く、コショウが効いていて、フェノールに溢れたピート!フィニッシュ:古い革製品が徐々にタールを伴いながら長く続いていく。

ポートエレンとはアイラ島にある、かっての中心港・ボウモアをしのぐアイラ随一の港の名前でもあり、村の名前でもある。そして、アイラ島の領主だったキャンベル一族の長、フィレディリック・キャンベルの妻エリノアの名前でもある。

そのポートエレン蒸留所は、アレクサンダー・カー・マッカイが 地主のウォルター・キャンベルの支援を受けて、1825年に創業創業。

しかしマッカイは金銭的なトラブルにより、数ヵ月後には蒸留所を ジョン・モリソン、パトリック・トムソン、ジョージ・マクレナンの3人の 親類に引き継いでもらうことになる。1833年、ジョン・モリソンのいとこであるジョン・ラムゼイが蒸留所を引き継ぎ、そのかれの妻、子孫へと受け継がれた。

ジョン・ラムゼイは当時のウイスキー産業の中心人物で、スターリングの自由党国会議員、グラスゴーの商工会議所会頭をつとめていた。ウイスキーをアメリカへ輸出することを最初に思いついたのもラムゼイで、ポートエレン港から直接輸出された。

さらには、連続式蒸留器を考案したイーニアス・コフィー、ロバート・スタインの協力者でもあり、彼らの数々の実験はポートエレン蒸留所で行われた。またスピリッツセイフの設置実験がおこなわれたのもポートエレンであり、歴史的にも重要な蒸留所であった。

仕込み用水は背後の丘にあるローリン湖からひいていた。辛口で刺すような独特の風味があり、どちらかというと食前酒向き。味わいは、オイリーで塩っぽく、スモーキーでピーティ…など、アイラ産の特性をストレートに兼ね備えている。

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 ポートエレン、浮沈
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1920年、ブラック&ホワイトのブキャナンと、ホワイト・ラベルのジョン・デュワーに売却。DCLとの合併で、SMDの管理下に入ったが 蒸留所は休止し、1966年まで続いた。翌67年、蒸留所が再開され、改築と蒸留機の 増設がおこなわれた。

1973年にはドラム式製麦工場を建設、1980年にはエリザベス女王が見学に訪れたものの、 蒸留所は1983年5月に操業停止され、再開の見込みはない。ただ、閉鎖前に生産されていたストックが多かったため、今でもリリースが続いている。

ポットスティルは取り外されながらも、製麦工場としての規模は拡大し、現在アイラ島と周辺地域の蒸留所からオーダーされた麦芽を供給している。麦芽の製造は現在でも行われており、ジュラ、ラガヴーリン蒸留所・カリラ蒸留所などに麦芽を供給している。このモルティング施設が煙を吐き続けている限り、モルト・ファンは淡い期待を寄せてしまう。

レアモルトというシリーズではおとなしく、多く語られているようにドライという印象は少なかった。ただ、緩やかな熟成感がとても堪らなくフィニッシュも長かった。オフィシャルよりもボトラーズブランドのほうが良く見る傾向がある。

非常に多くのボトラーからリリースされているにも関わらず、最も希少なアイラ・モルト。ボトラーによっても味はかなり異なり、ドライな印象のシグナトリーやダグラスマックギボンのほかに、樽香の強い中でも味がどっしりしているダグラスレインやザ・ボトラーズなどのように良質な味を持っている。

まとまりがある味としてはゴードン&マクファイルのコニッサーズチョイスなども捨て難い。またたまに見られるプライベートボトルなどは現在では価格が高騰しており、将来的にはオークションに出されるような物も流通している。

色々な瓶詰業者でボトリングされる際、ほとんどはシングルカスク物となるので、物によっては「個性が強かったり、弱かったり」と、味わいにばらつきがある。一般的には、UD社の瓶詰のものが、ポートエレンらしい。

味わいは、オイリーで塩っぽく、スモーキーでピーティ…など、アイラ産の特性をストレートに兼ね備えているといえる。アイラモルトの個性であるピート香は、アードベッグやラフロイグほど強くはないが、ややライトなボウモアを上回る。

ダグラスレイン社のフレッド社長曰く、色々リリースされているポートエレンの中でも一番の特徴は、「なめし皮の味」がすることだそうだ。あと潮の香りも。一口飲むと、まるで海辺に立っているかのごとくの潮の香り。かといってバランスはくずれない。やや泥臭さを感じるその独特な個性は閉鎖蒸留所の希少性もあって高い人気。

■■飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。お酒は楽しくほどほどに。