ホワイトレディー(& マルガリータ)

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カクテルの魅力は、こだわりにあり! (4)

ホワイトレディー

ホワイトレディー(WHITE LADY)が、いつどこで誕生したかということには、諸説ある。1919年、ロンドンのシローズ・クラブ、ハリー・マッケンホルンという説。当初は、ペパーミント・リキュールをベースとしていた。しかし、かれがパリのハリーズ・ニューヨーク・バーに移り、1925年以降にジンの普及とともに、ジンベースに変え、このカクテルが広く愛飲されるようになった。

また、サボイ・ホテルにあるアメリカン・バーによると、ハリー・クラドックが、1920年代につくったともされている。

アルコール、甘み、酸味のバランスがとれた、すばらしいカクテルである。「白い貴婦人」という意味だが、由来は不明。この輝きのある白さといい、口をつけたときに広がる味わいといい、香りといい、まさしくホワイトレディーのネーミングにふさわしいカクテル。レシピはというと、

ドライ・ジン – 2/4  ビーフィータージン
ホワイト・キュラソー – 1/4 (トリプルセック) コアントロー
レモンジュース – 1/4
を、シェイクし、カクテル・グラスに注ぐ。 サイドカーのバリエーションであると考えて、ジン・サイドカーとも呼ばれる。 辛口好みには、ベースを2分の1、コアントローとレモンジュースを4分の1づつ。

ジンには大きく分けて、オランダのジン(ジェネバ)か、イギリスのジン(ロンドン・ジン)が使われているが、ロンドン・ジンの方がよく使われている。

ご存知のように、オランダのライデン大学のシルビウス博士が、薬の研究をしていてつくり出したもの。現在、香辛料としても使用されているジュニパー・ベリー(ねず松の実)に利尿、解熱の効果かあるところから、アルコールに浸漬、蒸留してつくりあげた薬用酒である。

この新薬は「ジュニエープル」の名で薬局で販売されたのだが、スッキリした口当たりが評判になって酒屋にまで登場。やがて、海を越えてロンドンに渡った「ジュニエープル」を、イギリス人はジンと呼び始めた。

現代のジンはとうもろこし、大麦、小麦、ライ麦などの穀物を原料に、ジュニパー・ベリーや柑橘類の果皮、スパイスなどを使用してつくられている。

■■スタンダード・カクテル(7);「ホワイトレディー」■



マルガリータ

マルガリータ(Margarita)は、テキーラをベースにした中辛口のカクテル。スペイン語の女性人名、英語のマーガレット(花の名称)。別名、「カクテルの王女さま」。

もともとの語源は、ギリシャ語の「真珠」という意味。カクテルグラスのふちを、スノースタイルにした、美しいカクテル。味わいは、ベースのテキーラを感じながら、それでいてなめらかで、スィートなやわらかさも感じさせる。

クセのあるテキーラと、しっかりとしたレモン(あるいは、ライムジュース)の酸味と、ホワイトキュラソーの甘みのバランスがいい。テキーラの原産国のメキシコで、レモンをかじって、手の甲にのせた塩をなめて、テキーラをストレートでぐいっとあおるスタイルを、1つのカクテルにまとめたさわやかさで、それでいておしゃれにしたカクテル。すっとノドに入ってしまい、飲み口はさっぱり。

ロサンジェルスのレストラン「テール・オ・コック」のバーテンダー、ジャン・デュレッサー氏が創作したともいい、1949年のUSAナショナル・カクテル・コンテストで3位に入選した作品である。カクテル名は、かれの若き日の恋人の名前である。

1926年、二人はネバダ州バージニア・シティーへ狩猟に行った際に、かの女は流れ弾にあたって亡くなってしまった。そのかの女をしのんでつくられたカクテルといわれている。これまでスノースタイルといえば、砂糖を使ったものが多かったが、塩の苦味で、悲しみや、涙を表現したものであろう。

それに、どんな酒も塩をなめながら飲むガールフレンドのために、1936年にメキシコのホテルのバーテンダーがつくり、ガールフレンドの名前をとって名づけたと、諸説ある。レシピはというと、

テキーラ 30ml
ホワイトキュラソー(コアントロー) 15ml
ライムジュース(レモンジュース) 15ml
塩 適量

カクテルグラスは、スノースタイルのため、やや大ぶりの90ml用を使う。あらかじめレモンを2分しておき、カクテルグラスのフチをレモン汁につけて、一周させる。つぎに、皿などに塩を敷いておいたその上で、グラスをさかさまにして一回まわす。

シェーカーに氷と、材料を入れ、シェイク。カクテルグラスに注ぐ。ここで、テキーラを増量して、コアントローを減らすことで、よりドライなマルガリータが楽しめる。

さて、そのテキーラ。生誕地は、メキシコ中西部ハリスコ州テキーラ村。原料は、リュウゼツラン。葉をそぎ落とし、直径1メートルもある、重さ40キロほどの球茎を掘り起こし、これを割って蒸し焼きにし、くだき、圧縮し樹液をとる。

それを発酵させ、蒸留器で2回蒸留させる。これをまた、ステンレス・タンクで貯蔵し、水を加える。短期間貯蔵したものが、テキーラ・ブランコ。2ヶ月以上熟成したものが、テキーラ・レポサド。オーク樽で1年以上熟成させたものが、テキーラ・アニェホ。

しかしながら、1950年代以降、ブレンダーの誕生により、次々と新しいカクテルが生まれた。バリエーションとしては、「ブルー・マルガリータ」、「ピンク・マルガリータ」、「ゴールデン・マルガリータ」、「フローズン・マルガリータ」など多数。

たとえば、「フローズン・ストロベリー・マルガリータ」は、「フローズン・マルガリータ」に、ストロベリーリキュールを加える。色も香りも可愛らしく、フルーティーなカクテルに早変わり。レシピは、

テキーラ  30ml
クレーム・ド・ストロベリー 15ml
フレッシュレモン・ジュース 15ml
クラシュドアイス 1カップ
ブレンダーにかけ、塩でスノースタイルにした大型シャンパン・グラスに移す。 いちごを飾り、ストローを添えるというものだ。

また、アルコール度数の強いカクテルだが、ロックスタイルで、ソーダで割って飲むことも。材料は不明だがロックグラスで作っていたらしい。というのも、オリジナルのレシピは、

テキーラ 45ml
ライムジュース 30ml
レモンジュース 30ml
ホワイトキュラソー 、7mlを合わせ、ブレンダーで調整するものだった。これだと、酸味がかなり強いダイキリタイプの味になっている。ブレンダーで細かく砕かれた氷が入り、フローズン・カクテルとの中間くらいのもの。しかし、これが世界に広まるうちに、現在の酸味を抑えたサイドカータイプのレシピになっていき、シンプル化され、そしてシェイクになった。

※ おまけ;■■スタンダード・カクテル(8);「マルガリータ」■



 

★★『コジ・ファン・トゥッテ』(Cosi fan tutte)K.588

モーツァルトが、死の前年、1790年に作曲した粋なオペラ・ブッファ。長い間、その真価が認められずにいたが、20世紀になって、ほかの有名な三大作品とならぶ名作となる。いや、それ以上の傑作となった。

登場人物は、6人。女の貞節をめぐる男女の駆け引きを描いた作品。ダ・ポンテのリブレットによるこのオペラは、ウィーンで華々しく初演され、大成功を収める。しかし、ベトーヴェンは不道徳だと決めつけ、ワーグナーは台本をなじった。でも、
「これはおもしろいオペラで、このままで良いではないか」
と、R.シュトラウスの一言もあって、やや趣がかわってきた。このいい加減さが、モーツァルトなんだよな。

この作品も、二重唱からはじまって、三、四、六重唱まで、本当に多彩な音の重なりを楽しむことができる。もともとアンサンブルの多いモーツァルトのオペラ作品のなかにあっても、特別にアンサンブルが多い作品である。フィオルディリージの各幕に一曲ずつあるアリアは、初演時の歌手の並外れた力量を反映してか、高度の技巧を要するが、全体を通じて二重唱から六重唱まで、さまざまな組み合わせでつくられたアンサンブルで進行。

つぎつぎとつむぎ出される美しい旋律、その流れに耳をすっかり委ねてしまうその快感。序曲から楽しさに満ちている。軽やかで、浮き浮きとした気分に引き込まれていく。

ベームの大切なレパートリーだった。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 /ウィーン国立歌劇場合唱団で観る。ヤノヴィツ(フィオルディリージ)、ルートヴィヒ(ドラベッラ)、プライ (グリエルモ)、ベリー(ドン・アルフォンソ)など豪華キャストが出演。ここにおいて、今日の「コジ・ファン・トゥッテ」の魅力は確立された。

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