ハリーズ・バー!

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今夜は、ちょいとばかりワインを割って飲んでみようじゃないか。
「もったいないなあ」
と、ワイン好きの声が聞こえてきそうだが、でも、こういうちょいとイキ(?)な飲み方もしてみては、どうだろう。

それというのも、先日、フレンチ・レストランのカウンターでつくるところを見かけたのが、「オペレーター」といわれる白ワインベースのカクテルだったのだ。

やや大ぶりのワイン・グラスまたは、タンブラーに大きめの氷を入れ、白ワインと、レモンジュースを少々を加えておき、よく冷えたジンジャエールを満たして、軽くステアと、とってもカンタン。しかし、これってカクテル・ブックによると、食後酒なんだけど…と、まあカタいこといわずに楽しむのが、ワイン・カクテルだ。

ちょいとなじみのフレンチ・レストランで、ジョン・コルトレーンの「バラード」を聴きながら、シャンパーニュを片手に、その手際のよさに感心しながら、ぼんやりと眺めていたものだ。

そういえば、むかしといっても、ホントむかしのハナシだが、予約を入れたレストランに行く前に、最寄のショット・バーでよく道草をくっていたなあ、ということを、つい思い出した。その待ち時間を利用して、ちょいとだけウォッカ・ベースのドライ・マティーニをひっかけていたのだ。食事前の腹ごなしには、いい具合だったのだ。

ところが、それがいけない。1杯が2杯、あげくは3杯となり、かのレストランに着くまえに、よく酔っ払ってしまっていたなあ、ということもついでに思い出してしまい、ちょいと苦笑い。



なにはともあれ、さっそく、よく知られたワイン・カクテルを二つ。

ヴェネツィアのサンマルコ広場近くにある有名なハリーズ・バーで考案された「ベリーニ」からはじめよう。世界中に、多くのヴァリエイションをもつ桃をつかった美味しくて、かつ本格的なワイン・カクテルだ。

それは、ハリーズ・バーの経営者チプリアー二が、1948年にヴェネツィアで、ジョヴァン二・ベリーニの展覧会が開催されたのを記念して、この地方で夏によくとれる桃を使って、そのベリーニの淡い色彩の絵をイメージして創作したものである。

ちなみに、そのジョヴァン二・ベリーニは、15世紀初期のルネッサンス絵画の「ヴェネツィア派」最大の巨匠といわれ、「マエストロたちのマエストロ」ともいわれる。宗教画とりわけ多くの人間性に満ちあふれる聖母子像を残した。自然の風景や空気遠近法に注目して、色彩と光の効果を重視し、その輪郭をやわらかくぼかすヴェネツィア派、とよばれるスタイルを確立したといわれている。

さて、皮をていねいにむいた白桃のタネを取り除き、次いで、ミキサーでピューレ状にする。グラスに、その白桃のピューレと、シロップを入れ、よく冷えた発泡性のプロセッコをそそいで、軽くステアするというもの。レシピはといえば、

プロセッコ(スプマンテ) 3/4 glass
白桃のピューレ 1/4 glass
ガム・シロップ(または、グレナデン・シロップ) 1 tsp

となっていて、それとずんぐりとしたグラスに注ぐのがハリーズ・バー風だとも。むかしは夏だけのオリジナルカクテルだった。が、今では冷凍のピューレが手に入るようなので、一年中ベリーニが楽しめるってことだ。

ついで、「キール」。このカクテルが誕生したのは、1945年のフランスの農業振興会でのこと。ディジョンの市長・キール氏によって、「からし」と並ぶ名産品であるカシスの普及のために、このカクテルを考案したといわれる。

この後、積極的なPR活動も功を奏してか、ホテルやレストランで、アペリティフとして人気の高いカクテルとなった。

さて、そのつくり方だが、背の高いフルート・グラスにクレーム・ド・カシスを5ccほど入れ、それによく冷えた辛口・酸味が強めのアリゴテ、60ccを静かにそそぎ、軽くステアしてつくられたもので、いたってカンタン。

やや甘さが気になる方は、クレーム・ド・カシスの量を減らし、白ワインを多めに入れてみてはどうだろう。ちなみに、その白ワインのかわりに、シャンパーニュで割ると、「キール・ロワイヤル」という高級カクテルになる。

「オレンジ・サンセット」(ワイン・クーラー)もまた、夏の夕焼けの空をイメージした、とてもムード満点のフルーティなカクテルだ。

これは、フルート・グラスにやや大きめの氷を2~3個入れ、白ワイン(あるいはロゼ・ワイン)と、オレンジ・ジュースを同じ容量だけ加えて、軽くステア。くし型にカットしたオレンジをデコレートしてできあがり。

ちょいと図にのって、お次はパーティの席で、女性にすすめたいカクテルを2つ。まず1つ目は、「キティー」。

これも、つくりかたはカンタン。ゴブレットにクラッシュド・アイスを入れ、赤ワインをそそぎ、同量のジンジャエールを加え、軽くステアするもの。ちょいとかわいいシャンパン風の泡立ちを楽しんでみてはどうだろう。

2つ目は、やはり赤ワインを使用する、やや甘めのある「マンハッタン・クーラー」。小さめの氷を入れたゴブレットに、

ホワイト・ラム 1/2 tsp
レモンジュース 少々
ガム・シロップ 2 tsp
を加えておき、赤ワインを入れて軽くステア。レモンや、ライムでデコレートする。

最後にシャンパンをつかったカクテルを3つ。まずは、あの名画「カサブランカ」で登場し、ハンフリー・ボガードが広めたその名も、「君の瞳に乾杯! 」じゃなくて、「シャンパン・カクテル」。やや甘さはあるが、すっきりとさわやか。

ソーサ型のシャンパン・グラスに角砂糖1個を入れ、ブランデーを1tspをかけ、アンゴスチュラ・ビターズを1dashひとふりしてから、氷を入れ、おまちかねのシャンパンをグラスに満たします。そして、締めはレモン・ピール。また、スライス・オレンジ、あるいはレモンの皮をデコレートしてもおもしろい。

お次はこれ、フランス貴族が愛したと言われる「ミモザ」。口当たりがさっぱりとしていて、たいへん飲みやすい。

フルート・グラスによく冷えたオレンジジュースをそそぎ、これまたよく冷えたシャンパンをそそいで完成。高価なオレンジジュースといわれるユエンだ。白ワインカクテル「オレンジ・サンセット」のシャンパン版? 南フランスに咲きほこるミモザをイメージしたといわれている。

そして、「フレンチ95」。気ののらなかったパーティが終わった後で、仲間内でちょいと飲みなおそうか、ってなとき、ちょいと強めのカクテルで。憂さも晴れるし、話題もはずむ(?)。コリンズ・グラスに、

バーボン 45ml
レモンジュース 20ml
砂糖 1 tsp
をシェークしてそそぎ、クラッシュド・アイスと、冷えたシャンパンを入れ、軽くステアすればOKだ。



♪♪♪ レスター・ヤング その不運な男  ♪♪♪

今夜は、レスター・ヤング最後の名盤といわれる「PRES and TEDDY」を、iPodで聴きながら、これを書いている。

あのバリバリ吹くコールマン・ホーキンスが主流だったテナー・サックス界に、軽やかでやわらかなヴィブラート、スムースでふわふわしたフレージング、オフ・ビート感覚を持って登場。

しかし、兵役時の人種差別で、レスター独特の感受性が失われ、音楽が変わったとさえ伝えられる。それゆえ、花形スターであったカウント・ベイシー楽団にいたころの1944年までの、Commodore、Keynoteとかの小さなレーベルに吹き込まれた演奏が、レスターの絶頂期にあたるというわけだ。

でも、「PRES and TEDDY」(VERVE)での、レスターは旧友テディ・ウイルソンとの再開を楽しんでいるのか、「All of Me」から快調そのもの。

(再投稿)

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