ドランブイ

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ドランブイ(DRAMBUIE)

王家秘伝の酒

1745年にスコットランドで誕生したドランブイは、スチュアート王家で代々受け継がれてきた秘酒である。熟成された数種のスコッチウイスキーにレシピ非公開のハーブ、スパイス、ハチミツを加えたリキュール。

モルト・ウィスキー発祥の地ともいわれるハイランド地方の言葉であるゲール語の「飲む(dram)」と、「満足な(buidheach)」を合成して「Drambuie」としたもので、「希望を叶える飲み物」といった意味だ。あの伝説の俳優・ボギーが普段嗜んでいたことでも知られる。行きつけのバーでは、ドランブイの減り具合で旅に出ているかいないかを判断したという逸話が残っている。お湯割で、愛飲していたそうだ。


伝説によると、1745年、英国で王位継承のための戦いが勃発。 フランスから援助の約束を取りつけた、ポニー・プリンス・チャリー(チャールズ・エドワード・スチュアート王子)は兵を挙げた。が、カローデンでの戦いに破れ、頼みのフランスとも連絡が取れず、スカイ島への逃走を余儀なくされる。この時、チャールズ王子を助けたのが、地元の豪族・マッキノン家だった。

お尋ね者・チャールズ王子には30000ポンドもの賞金が懸けられていたにもかかわらず、マッキノン家はチャールズ王子をスコットランド北西にあるスカイ島から、フランスへ亡命させることに成功させた。実際の逃亡に当たり、チャールズ皇太子を女装させ、逃亡を助けたという。

チャールズ王子は感謝のしるしとして、王家伝統のドランブイの秘酒の製法を授けた。これが、ドランブイの歴史のはじまり。とはいえ、マッキノン家の人々は、これを門外不出とし、一族の間だけで伝えていくことにした。

カローデンの戦いから100年が経ち、スカイ島のブロードフォード・ホテルの経営者ジョン・ロスが、マッキノン家を説得して、マッキノン家の家族が飲むためのリキュールを製造。できあがったリキュールは、そのホテルの常連の2人が、そのリキュールを試し飲みして、 ‘An Dram Buidheach’ (満足できる酒)と、いったという。

後にジョンの息子・ジェームスが、1893年に Drambuieの商標を登録した。1909年に未亡人のジーナがレシピを持ってエジンバラに移り、ウイスキーの卸売商マルコム・マッキノンとともに、エジンバラでDrambuiの製造を開始。

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 ドランブイのレシピ、今なお門外不出
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2014年、ドランブイのレシピは、一家族から、別の家族に移ることになった。ウイリアム・グラント&サンズが商標を買収。その製法は、今なお門外不出。

そのレシピは、同社のグラスゴーの近くのブレンド施設の金庫のなかに保管されている。同社の3人だけがそのレシピを知っており、そのうちの一人が、ウイリアム・グラントの6代後の子孫で、彼が一製造ごとにドランブイのエッセンスを調合していると聞く。今日のドランブイのラベルには、”Prince Charles Edward’s Liqueur”と印字されている。

ドランブイ・オリジナルのベースになるスコッチ・ウイスキーは15年以上熟成させた、スコットランド北部のハイランド地方産のモルトウイスキーをベースに約40種類のスコッチウイスキーをブレンドし、ヒースの花から集めた蜂蜜、香草、香辛料などのエキスを加えてつくる。アルコール度数はリキュールの中では高めの40%、エキス分は35%に仕上げている。やわらかい口当たりとハーブの香りが楽しめる。ウイスキー飲みのためのリキュールだ。

充分なコクと円熟の風味を楽しむには、ストレートが最高。アルコール度数が40度と高めなので、水割りや、お湯割りにし、少量のレモン果汁を入れると楽しみやすくなる。また寝る前のナイトキャップとして飲むのもいい。カクテルの材料ともされ、ラスティ・ネイルが有名である。

■ラスティ・ネイル;スタンダード・レシピは、ウイスキーとドランブイは同量(30ml)だが、甘めのカクテルになる。辛口に仕上げたい方は、
ウイスキー:45ml
ドランブイ:15ml
くらいで調整。どのウイスキーを使用するなど指定はないが、一般的にはスコッチウイスキーを使用。それと、ドランブイは最後に入れる。比重が重いお酒なので注いだ時、下に沈んでいく。氷を入れたロックグラスに注ぎ、バー・スプーンやマドラーで混ぜ合わせて完成。ラスティ・ネイルの色合いが錆びた釘のようなので、Rusty(錆びた) Nail(釘)とつけられた説と、もう一つの説は、イギリスの俗語である「古めかしいもの」という意味からきたとのこと。

参考■ アイリッシュミスト( Irish Mist);1948年に、アイルランドのタラモアのウィスキー蒸留業者、ウイリアムズ家によって開発されたリキュール。中世の時代にアイルランドに住んでいたゲール族が飲用していたといわれている、「ヘザー・ワイン」を参考に開発された。ベースは、むろんアイリッシュウイスキー。10種類以上のハーブから抽出したエキス、アイルランドに生育するヒースやクローバーの花のハチミツも配合されており、さわやかさとコクをあわせ持っている。アルコール度数は35°。

■■飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。お酒は楽しくほどほどに。

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