カクテルの魅力は、こだわりにあり! (2)

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カクテルの魅力は、こだわりにあり! (2)

☆ Today’s Special ☆

■ スタンダード・カクテル(1); ダイキリ & サイドカー
■ Classical; モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ集

■ダイキリ

ダイキリDaiquiri)は、ラム・ベースの名作カクテルである。


ホワイト・ラムをベースに、フレッシュ・ライム・ジュース、シュガーシロップをシェイクしてつくる。ライム・ジュースのほどよい酸味が、心地よい一品。ダーク・ラムの場合は、味わいが濃くなる。ライム・ジュースは、穏やかに。このカクテルは、フローズン・スタイルにすることもできる。すると、フローズン・ダイキリという名前になる。

19世紀後半、米西戦争後、キューバのサンチャゴ市の東、ダイキリという名の鉱山で働く、アメリカから派遣された技師たちが飲んでいたのがはじまりとされる。暑さしのぎに、キューバ産ラムに、特産物であるライムをしぼりこみ、砂糖を入れて飲んだ。主任技師でもあったジェニングス・コックス氏により命名。

その後、イギリスのハリー・クラドックが、禁酒法治下のアメリカにわたり、カクテル修行をおこない、それをもとに、あの有名なカクテル文献「サヴォイ・カクテル・ブック」を出版。そこで、ダイキリを高く評価。

そんなころ、ダイキリ生誕の地・キューバでは、「バー・フロリディータ」のバーテンダー・コンスタンテが、このダイキリにマラスキーノを数滴プラス、ついでその特製ダイキリを、ソーサ型のシャンパン・グラスにフラッペ状の氷の上に注いだ。ヘミングウェイがこよなく愛したというフローズン・ダイキリの誕生だ。

かれは、砂糖を抜き、ラムをダブルで注文するのが流儀だった。そして、グレープフルーツ・ジュース、クラッシュド・アイスを浮かべるカクテルで、パパ・ダイキリと呼ばれた。

コンスタンテは、アメリカで調理用のミキサーが開発されたと聞くや、早速購入。そのダイキリを、クラッシュド・アイスと一緒にミキサーにかけ、シャーベット状態にして、グラスに注いだ。お客たちは、ストローやスプーンでつつきながら、おもいおもいに楽しんだようだ。もちろん、ヘミングウェイも例外ではない。

ただし、フローズンにした場合、砂糖をかなり使わないと甘味が出ないので、その代わりとして、ホワイトキュラソーを加えて、味をキリッとひきしめるとよい。レシピは、こうだ。
ラム 45ml、
ホワイトキュラソー 1スプーン、
ライム J15ml、
シロップ 1スプーン、
を、ミキサーでまぜた後、カクテルグラスに注ぎ、ミントと、ストロー”2本”をそえる。ストロベリーや、マンゴーを混ぜたヴァージョンも、なかなかいい。

シャーベット状にせずに、クラッシュド・アイスをそのまま使用したフローズン・ダイキリは、アメリカン・スタイルと呼ばれる。

■■スタンダード・カクテル(3);「ダイキリ」■



サイドカー

ブランデー・ベースのカクテルである。フルーティでいて、甘酸っぱいけれど、さっぱりした後味が特徴。

ブランデーの芳醇な香りを、ホワイトキュラソーのフルーティーな甘さで包み、レモンジュースの酸味で、全体を引き締めている。シェークしてつくるカクテルの基本であって、最も有名な カクテル の一つ。別名、「カクテルの王子さま」。

サイドカー(Sidecar)は、ホワイトレディのバリエーションである。1933年、パリの「ハリーズバー」バーテンダー、ハリー・マッケンホーンの作といわれている。しかし、もちろんのこと、諸説ある。第一次世界大戦中に生まれたとされる説。

その大戦のころ、サイドカーに乗ってきたフランス軍大尉が、バーでコニャックを飲んでいると、急用で帰隊しなければならなくなった。
「コニャックを、一気に飲み干すには、強すぎる」
と、近くにあったホワイトキュラソーと、レモンジュースを加えて飲んだところ、これが大変おいしかった。その逆に、ドイツ軍のサイドカー乗りの将校が、占領したフランスの民家に残っていた有り合わせで、同じ材料でやってみたところ、おどろくほどおいしかった、というのもある。

それでも、ハリーは最初に、ホワイト・ペパーミントをベースにした、ホワイトレディを考案。その後、ベースをジンにして評判になった。さらに、ジンをブランデーにかえて、サイドカーとした。標準的なレシピは、こうだ。
ブランデー 30ml
ホワイト・キュラソー 15ml  (※逸品、コアントローがおすすめ)
レモン・ジュース 15ml

レシピでは、レモン・ジュースは 15mLとなっているが、やや少なめの方が、酸っぱさが抑えられて、より美味しくなる。ホワイト・キュラソーに、コアントローを使用した場合、さらにオレンジの香りが引き立つ。そのオレンジの香りを引き立てるために、シェイクする時に、カット・オレンジや、スライス・オレンジを一緒に入れて、シェイクすることもある。

ブランデーは、メーカーやブランドにより、味の違いが大きい。自分にあったブランデーを見つけるのも、楽しみの一つである。 高価なものでつくると、もちろん美味しい。が、安物のブランデーでも、それなりにいける。

ブランデーは、常温にて使用するのが、一般的である。冷蔵庫にいれると、白い固形物があらわれる。それに、もう一つ、水がはいると、味わいが伸びてしまうというデメリットもある。

最近は、ブランデーの割合を増やし、甘みを抑えるドライなサイドカーが流行っている。サイドカーをシェイクする時、やや小ぶりのシェイカーを使い、なるべく振りは大きめ、強めにシェイク。そうすることによって、中に気泡が多く生じ、それがまた香りを広げてくれるのだ。

■■スタンダード・カクテル(4);「サイドカー」■



★★ モーツァルト;グリュミオー/ハスキルの「ヴァイオリン・ソナタ集」

25番K301と28番K304は、モーツァルトが22歳の年に作曲した第25番から、第29番K305までの5曲連作のヴァイオリン・ソナタの一部をなすもの。ともに、2楽章構成だが、ともに名曲。みずみずしい25番、悲痛な28番と性格は対照的。

3楽章構成での第32番K376は、メリハリのはっきりした曲。第2楽章の静かな美しさは絶品。第34番K378は、4曲のなかの白眉。やはり3楽章だが、全曲を通じて純粋で、自然で、美しい旋律に満ち満ちている。

しかし、晩年の作はいざしらず、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタの大半は、貴族のお嬢さん方のクラヴィーアのためのお稽古曲であったはず。その傍らで、モーツァルトがヴァイオリンを奏でていた。そのためか、よく言われているように、ヴァイオリン・ソナタというより、クラヴィーア・ソナタといっていいほどだ。

グリュミオーとハスキルの演奏は、昔から評論家のあいだでは、名盤として有名なもの。グリュミオー持ち前の美音で、流麗に弾いていて、のびのびと演奏。また、62歳のハスキルのピアノも、37歳と若かったグリュミオーの能力を存分に発揮させようという意図からか、ヴァイオリンに寄り添うように、ひかえめに、淡々と弾いている。これは、これでいいのかもしれない。端正で、やわらかく、艶やかな気品をあわせ持ったモーツァルトである。

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